笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒3色違いのチェリーブロッサムズ6

2012/10/20 01:00|連載小説ワーホリの覚醒3TB:0CM:0
翌日、アスオから連絡があったが、マンションに麗蘭はいないようだと言った。
それを聞いた路男磨はすぐ警察に電話し捜索を依頼した。
あれほどの美貌である。
朝、誘拐されたとは考えにくいが、前日の夜もしかしたら変質者に誘拐され酷い目にあっているのかもしれない。
路男磨の想像は悪い方にばかり膨らんだ。

その夜、乗馬学校の食堂でテレビを見ていると、ニュースがドラム缶にコンクリート詰めにされた女性の全裸殺人事件を伝えていた。
場所はシドニー南郊を流れるジョージスリバー下流で身元はまだ不明であるらしい。
〈まさか―〉
画面にはコガラベイ ヨットハーバーのランプが写っている。
ドラム缶はそのすぐ横の海底で見つかったらしい。
路男磨は緊張した面持ちでそのニュースを見ていた。

―とその時、乗馬学校の廊下に一台だけ置かれてある共同の電話が鳴った。
路男磨は反射的に立ち上がり、走りよって受話器を握った。
「本当にごめんなさい―」
と聞こえてきた声は間違いなく麗蘭であった。
路男磨はまずホッと胸を撫で下ろしたが、その彼女の声に力は無く泣いているようにさえ聞こえた。
「何があったの?大丈夫?」
「実は…今日本に戻ってるの…」
事情を聞いてみると金曜の夜半に日本にいる彼女の弟から電話があり、
「両親が交通事故で死んだ」
と伝えられたらしい。

弟はまだ中学生、自分が戻るしかないと判断した麗蘭は土曜日の朝早く空港へ向かい、キャンセル待ちで飛行機に乗り急遽帰国した。
警察で事情を聞いてみると、事故は麗蘭の父親に全面的に非があったらしい。
彼は運転を誤り反対車線に飛び出して大型トラックと正面衝突したのだが、彼の血液中から相当量のアルコールが検出され、事故当時酒気帯び状態であったことが証明された。
幸いな事にトラック運転手に怪我は無かったが、トラックは前部が大きく破損した。それに対しての賠償保険は支払われるが、飲酒運転のため麗蘭の両親には一切の保険は支払われない―と事のあらましを麗蘭は蚊の泣くような声で説明した。

「大変な事になったな…俺も戻るよ…」
何が出来るかわからないが、いるだけでも心の支えにはなるだろうと路男磨は判断した。
彼女とは世間で言う恋人同士ではないし、付き合って日も浅いが、これまで自分に与えてくれた好意には最大限の誠意でもって報いたい―と彼は思っている。
「駄目よ。後のことは母方の親戚も手伝ってくれるの。葬式が終わって落ち着いたらすぐにそっち戻るわ。だから来ないで、お願い…」
嘘であった。
麗蘭の母も父も一人っ子でその両親は既に他界している。
薄い血縁ならばともかく頼りになる親戚は一人もいなかった。
彼女はただ、たった一年の路男磨の豪滞在を邪魔したくなかったのである。

麗蘭の家族は都内の高級マンションに住んでいた。
しかしそれは会社持ちのいわば社宅である。
車もカンパニーカーで、残してくれた財産と言えば多少の絵画と家具、それにゴルフクラブくらいであった。
貯蓄は驚くほどに少なかった。
オランダ人の麗蘭の父は自信家で金は自分の能力についてくるものだと信じていたし、死ぬなんて夢にも思っていなかったから、遊びと社交に大いに散財していた。
それに彼は酒豪で、酒に弱い日本人を馬鹿にする風があった。
その報いが今、後に残した二人の子供に津波のように突然襲ってきたのである。

麗蘭は弟と二人だけで両親の葬儀を執り行った。
父の交友関係、会社の同僚、部下等誰も呼ばなかった。
本来ならば呼ぶべきであったろうが、両親が残してくれた預金はよくもって二人の生活費一年分であるから、親には申し訳ないが葬儀に無駄遣いは出来なかった。
その後麗蘭と弟は、売れるもの全て処分して四畳半一間の木造アパートに引っ越した。
部屋の隅に小さな流しとガスコンロが一台ついているが、風呂トイレは共同だった。

「いい、絶対に無駄遣いしては駄目よ。あなたはただ節約に徹して一生懸命勉強して高校に進めばいい。何も心配しなくていいのよ」
と弟に言い残し、麗蘭は再びシドニー行きの飛行機に乗った。
親の預金と財産を処分した金は殆ど全て弟に与えた。
しかし、それも長くは持たないであろう。
彼女は今後、二人分の学費と生活費を自力で捻出しなければならない。
日本に残る事も考えた。
だがそれはほんの一時凌ぎに終わるだろう。
彼女は弟を大学まで進学させたい。
その為にはどうしてもシドニー大を卒業して、高給職を得る必要があった。

窓の下の関東平野の明かりがどんどん小さくなっていく―。
「父さん…母さん…」
自分は悪い夢でも見ているのでは無いだろうか…
麗蘭はまだ両親が死んでしまった事が信じられない。
彼女は目を閉じた。
目を開けたら、そこはシドニーの自分のベッドの上かもしれない…。
そう願いながら目を開けた。
だが、窓の外には真っ暗な闇が広がっているだけだった。
下界の明かりももう見えない。
彼女の両親もまたその明かりのように麗蘭の前から消えてしまったのだ。
二人の子供を暗闇に残して―

しかし…その感傷に浸っている暇は麗蘭に無い。
シドニーに帰ったら先ず安いシェアハウスに移り、一日も早くアルバイトを探さなければならなかった。
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