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オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒3公衆便所に住む女2

2012/08/11 23:09|連載小説ワーホリの覚醒3TB:0CM:0
望詩の唯一の楽しみは昼下がりに犬を連れて2時間ほど散歩する事だった。
仕事は多いが適当に手を抜いて午前中で片付ける。
手を抜いたところでギリシャ系の移民で豪育ちのアンドニオは文句は言わない。
もちろん彼女が寛大なのではない。
日本の基準が高く、豪の基準が低いので、手を抜いてもここでは普通かそれ以上に評価されるのである。
その点、日本の飲み屋で毎日働き、厳しく鍛えられた望詩にとっては楽であった。

その日も犬と一緒にライクハートパークまで歩いた。
犬の背中の傷はほぼ完治している。
リードは繋いでいない。
そんなもの無くともオリュンポスと望詩は既に以心伝心になっていた。
犬は少し走っては望詩を待ち、望詩の視界から消える事はない。
今の望詩にとってこのオリュンポスだけが唯一の友達であり味方であった。

ライクハートパークには平日の昼下がりでも結構な数の人が犬を連れて歩いている。
イタリア系が多いが、白人、中東、アジア系と雑多な人種が混じっていた。
皆一様に愛想がいい。
誰もがすれ違ったり、目が合ったりするとにこりとしてくれた。
この国に来て以来、不思議なほどにブスとしての扱いはうけていない。
どうやらアジア人の美醜が分からない者が多いようで、ただ単に一アジア人として見られているように感じた。
それは望詩にとって望むところで、できる事なら国籍も過去も消し去って新しくオージーとしてやり直したい―と最近漠然と思っている。

この国へ来てから父の事は誰にも話していない。
誰とも深く付き合ってないし、道であった人にいきなり「父は強姦魔で~す」とも言えないからであって、隠す気は無いが、もし話しても
「ああそうかい…俺の祖先も犯罪者さ…」
と軽く聞き流してくれるような雰囲気がここにはあった。
豪は元々英国罪人の流刑先である。
もっともその罪状は、肉やパンを盗んだなど馬鹿馬鹿しいほどの軽犯罪が多かったが―。
望詩とて父の犯罪が貧乏を苦にした窃盗とかであれば、これほど苦しまなかっただろう。
やはり強姦、殺人はちとシャレにならない。

その日は時々会うおじいさんと芝生の上で立ち話して少し遅くなった。
望詩のオペアは大はずれだったが、ただ一つのメリットは英語で日用会話が出来るようになったことだった。
だから公園やショッピングセンターでよく顔を合わす人達とは時に20分も立ち話をする事がある。
彼らは友達ではなかったけれど、色んな国から来た人たちと話をするのは刺激があって楽しかった。
元々望詩は話好きであるが、日本ではブスであるが故に誰も話し相手になってくれなかった。
それがここでは片言の英語でも暇な人は話し相手になってくれるのである。


3時には憎たらしい二人の兄弟を小学校まで迎えに行かなければならない。
望詩は競歩のように歩いて帰った。
犬を裏庭につなぎ、再び家を出る。
小学校には5分遅れて着いたがいつもの場所に兄弟はいなかった。
周りにいる他の子供の親に聞いてみたが、誰もどこへ行ったかわからないと言う。
この国は女の子だけでなく男の子も同じように危険で、変質者による誘拐、強姦も時々ある。
だから子供が小学生の内はどの親も神経質になって、大抵は迎えに来ていた。
「多分もう帰ったんでしょう…」
そう彼らに言って望詩は家に向かった。
彼女はさして心配していなかった。
「あの性悪兄弟が誘拐なんてされるもんですか…」
と呟きながら家に帰ったが彼らはいない。
少し心配になって家の周辺や公園を探したが見つからなかった。
「いったいどこへ行ったのかしら?警察に…」
と焦りながら家の前まで戻ってくると裏庭のほうから
「バンバンバン」
と物凄い音が聞こえた。
嫌な予感がした。
ドアを開け中に入ると二人の子供が鎖で繋がれた犬に爆竹の束を投げつけているのが見えた。
オリュンポスは怯え、狂ったようにキャンキャンと吼えている。
〈あたしの唯一の友達に…〉
望詩は怒りで体が震えた。

「やめなさい!」
望詩は後ろから兄弟に怒鳴った。
すると彼らは、くるりと振り向き、望詩を見てニヤリとした。
子供とは思えない残忍な笑いだった。
そして導火線に火をつけると今度は望詩に向かって爆竹を投げつけてきた。
爆音が響き、火花が皮膚を焼き、煙が彼女の体を覆った。
爆竹の一つが耳のすぐ側ではじけ「キーン」という不快な余韻を脳に残す。
「いい加減になさい!」
怒り心頭した望詩は彼らに殴りかかった。
しかし彼女の弱弱しい拳は空を切った。
上の子はもぐる様にしてそれを避けると、下から望詩の顎に強烈なアッパーを打ち込み、彼女がよろけたと同時にみぞおちに蹴りを食らわした。
日本の子供とは比較にならないパワーだった。
望詩は腹部を押さえ苦しそうに前に倒れた。
その倒れた望詩を、兄弟はサッカーボールのように蹴りまわした。
「ブルシットのくせに生意気なんだよお~」
子供は手加減を知らない。
蹴りが鼻にモロに当たり鼻血が流れ出したが、彼らはやめなかった。
「し、死んじゃう…」
望詩は手で顔を覆い、アルマジロのように丸く固まり、ただひたすら耐えるだけだった。
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