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オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒3公衆便所に住む女1

2012/08/04 19:07|連載小説ワーホリの覚醒3TB:0CM:0
望詩の浮かない日々は続いていた。
オペアは当たりはずれがあると言うが、この家は大はずれだった。
第一印象も悪かったがその後知れば知るほどこの一家の印象は悪くなる一方だった。
彼らはギリシャ系の移民である。
父親は他に女を作って逃げ、母と息子二人の三人家族だが、そろいも揃って性格が極悪だった。
ギリシャ人なんて最低!―と日本で出会っていたら決め付けたかも知れないが、ここには他にもギリシャ人はウヨウヨいる。
望詩の通っていた英語学校にも10人ほどのギリシャ人がいたが何れもその印象は良かった。
内二人は日本人と付き合っていたし、巷でギリシャ人が極悪という話も聞かない。
だからギリシャ人全体が悪なのではなく、このパパジョリガイティス家が異常なのであろう―と望詩は理解していた。

給料は依然1セントももらっていない。
この家に住み込んでもう二ヶ月になろうというのに無給という事は永遠に無給という事だろう。
それでも家族の人柄が良くて、一緒に外食したり、出かけたりすれば我慢できるが、アンドニオは一度として望詩をどこかへ連れて行ってくれたことは無かった。
加えて二人の子供は、残忍で殺戮と虐待を好んだ。
蛙の皮を剥いだり、蝶の羽を千切ったり、子ネズミの首を絞めたりするだけでなく、飼い犬も毎日のように虐めている。
彼らは一ヶ月を過ぎた頃から、望詩のことをはっきりと「ブルシット」と呼ぶようになっていた。
確かにボウシはブルシットの発音そのままなのであるが、トイレに入っている時に「ブルシットがシットしてるぞ~」とドアをドンドンやられた時など本気でこの二人を殺したくなった。

しかし、望詩は犬の傷がいえるまで…と歯を食いしばって耐えている。
苦痛の一日が終わり、夜一人一畳の物置に寝転がると黴臭い匂いと精神的な疲れでつい悲観的になり涙が出そうになる。
〈あたしは一生幸せになれないんじゃ…〉
そんな時は、首を激しく振り路男磨の事ばかり考えるようにした。
「シドニーで耐えていれば彼が迎えに来てくれる―」
そう信じて生きている。
彼が今どこで何をしているかは知らない。
この当時、携帯電話はなかったから、大抵は実家の電話番号を教えるのだが、彼女に実家は無かった。
路男磨の実家の電話番号を聞いたら当然自分の方も聞かれるだろう。
それがどうしても嫌で彼女は彼の実家の番号を聞かなかった。
「何故実家が無いの?」
そう路男磨に聞かれるのが怖かったのだ。

彼女には、人には言えない暗い過去があった。
生まれつき醜かった彼女は小学校からずっと虐められていたが、元来強気で陽気であったから友達は数人いた。
しかし、中学の時父親が連続強姦魔として逮捕されてから全てが狂った。
あの小さな町を震撼させた強姦魔が実の父であった時の衝撃…今思い出しても体がゾクゾクと震えてくる―。
その後、町に住めなくなった母娘は東京の歓楽街に逃げ込み、住み込みで母だけでなく彼女も学校が終わってから働いた。
三畳一間に二人が暮らす地獄の極貧生活だった。
友達なんて一人もおらず、修学旅行にも行けなかった。
そして母親は、望詩が高校を卒業したと同時に過労がたたって死んだ。
親戚には父の逮捕後絶縁されている。
だから彼女には帰るべき家が無いのである。

もし路男磨と進展するような事があれば、その時は打ち明けようと思っている。
だが現時点では言いたくないし嘘はつきたくない。
それで故郷の話は極力タブーにしていた。
彼女は路男磨の薄二重の目と長い睫が好きだった。
だがそれ以上に、彼の拘りが無く、一風変った性格に期待していた。
彼ならばきっと受け入れてくれるだろうと…強姦魔の子でも…。

彼女は週に3回は、グリーブポイントロードのタイレストランに電話する。
そのタイレストランには、英語学校のクラスメートだったワンターニというタイ人が働いていて、路男磨がシドニーに帰ってくればそこに連絡してくれるように伝えてある。
アンドニオはケチで国際電話は禁止しているが、市内電話まではチェックしない。
それで家に誰もいない時に、今日こそは―と祈るような思いで電話するのだが、まだ彼からの連絡は無いとのことだった。

「そう…」
いつも溜息まじりに受話器を置く。
「まさか、あたしの事なんて忘れてるんじゃ…」
落胆と不安が脳裏をよぎりそれを紛らわすように家事にとりかかるが、皿を洗いながらもついついその事ばかり考えてしまう。
「いや、そんな事は無い…彼は必ず連絡すると約束してくれた…」
と打ち消してみるが、その傍ら
「もう誰かとつきあっているかもしれない…」
と路男磨が街を他の女と歩いている姿を想像してしまう。
その相手は決まって以前シドニー大で見たクリノリンドレスの女だった。
あの後、路男磨の口から彼女の事は一度も聞いていない。
だが、常に気にはなっている。
「もしや…あたしの知らないところで会っているんじゃ…」
わなわなと震える手に洗ったばかりの出刃包丁が光っている。
「そんなの絶対許さない!!」
彼女はそれをブスリと木のまな板に突き刺した。
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