笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒2オペア(Au Pair)2

2012/06/09 20:09|連載小説ワーホリの覚醒2TB:1CM:0
アンドニオは、朝早く出勤し帰りは5時過ぎ、近くの精肉工場で週六日働いている。
望詩の仕事は炊事洗濯掃除に子供の送迎、但し「料理できる?」と確認した割に料理は全てアンドニオがした。
多分料理すらできない者は使い物にならないと思って聞いたのだろう。
望詩に料理をさせないのは仕事量の多い彼女を気遣っての事ではなく「信用できない」というのが主な理由のようだった。
彼女の料理はマズイとまでは思わなかったがいつも似たようなもので、カチカチのパンとオリーブが常に出てきた。
米もドルマデスとかいってたまに葡萄の葉に巻いたものがでてくるが望詩の口に合うものではなかった。
自由時間は昼下がりの2時間ほどと夜子供が寝てから少しの間のみで、子供が起きている間は彼らの相手をさせられた。
日曜日だけは一応休みであるが、食後の洗い物くらいは当然やらされる。

二週間が過ぎた。
だが給料なるものは一銭ももらっていない。
望詩もその事は聞かなかったしアンドニオもその事には一切触れなかった。
聞かないというより、聞ける隙をアンドニオは与えなかった。
その代わり、仕事はガンガン押し付けてきた。

日曜日、給料の無い望詩は出かけたところで遊ぶ金が無いので家にいると、
「今日はいい天気だから芝刈りをしましょう」
とアンドニオが言う。
やりたくは無かったが断る理由も無いので「いいですよ」と頷くと、彼女は錆びた鎌を望詩に握らせて自分は二人の子供を連れてさっさとどこかに出かけていった。
「“ましょう”って言ったじゃないの!」
望詩は当然彼女も一緒にするものと思っていたし、ちゃんとした芝刈り機もあると思っていた。
庭は狭いが草ぼうぼうで硬い棘棘のミルクグラスは腰くらいまで伸びていた。
刈っても刈ってもなかなかはかどらないし、犬の糞がそこらじゅうにあってそれに鎌の先が当たると強烈な匂いがした。
「アアもう嫌になっちゃう、やめちゃおうかしら…」
と嘆いてみるが、後の事ことを考えて結局続ける事にする。
この家を出るとなるとまた住む所と仕事を探さなければならず、もし仕事が見付からなければ日本に帰らざるをえない。
「完全に足元見られてる…そうか、だから顔のこと…ううんあたしは見る人が見れば可愛いのよお!」
もう日本語でヤケクソに叫び、錆びた鎌をブンブン振り回した。
すると、スパッと鎌刃の部分が飛んで望詩の手には柄の部分だけが残った。
「ヒュンヒュンヒュン…」
太陽にキラキラと反射し回転しながら飛んでいくその鎌刃はやがて側で寝ていた犬の背中にグサッと落下した。
「ゲ…」
犬は「何が起こったの?」といった顔つきで彼女を見つめている。
が、次の瞬間ギャンと吼え大きく飛び跳ねた。
「キャー、オリュンポスが、オリュンポスがああああ」
彼女は慌てて駆け寄り、暴れる犬を押さえて鎌を抜き取った。
「ぴゅーっ」
血が噴水のように噴出した。
「オ、マイゴッ…」
走って家の中に入り、救急箱を持ってくると中から消毒液と包帯を取り出した。
オリュンポスの首を股で挟み消毒液を傷口にポトリと落とし、包帯をグルグルと巻く。
「ギュワン」
と犬は暴れたが望詩は渾身の力をこめて押さえつけ何重にも包帯を巻いた。
慣れてないので見た目は褌のようだが血止めの効果はあるはずだ。


望詩は憂鬱だった。
「犬のこと言ったらアンドニオ怒るだろうな…」
と思いながら彼女が帰ってくるのを待っている。
だが、ここの家族がこの犬を可愛がっているとは到底思えなかった。
茶色い間抜け面の犬は近くで見るとアバラが浮き出て痩せこけている。
餌はアンドニオが与えているが、いつも残り物か酷い時はカビが生えた物で、ろくな物でないのは知っている。
ここの二人の子供は、あまり庭に出てくることは無く一度も犬と遊んでいるのを見たことが無いが、数度、空き缶を投げつけているのは見たことがあった。
しかし…それでもやっぱり怒るだろうな―と望詩は犬の背を撫でながら思った。

夕刻アンドニオは二人の子供とともに帰ってきた。
「あのー実は…」
と勇気を奮い起こして彼女に事の経緯を話した。
ただ鎌を振り回していたとは言わず、頑固な草を刈るときに強く引くと勢い余って刃の部分が飛んでいったと苦しい言い訳をした。
「あ、そう。で、死んだの?」
彼女は肥満体をどっかと椅子の上に降ろし、無感情な顔でいった。
「いえ、だから包帯巻いたって―」
「あなた、誰の許可を得て包帯使ってんのよ」
「でも、オリュンポスが血を流して…」
「犬になんて包帯使うんじゃないよ。もったいない」
「でも…」
「ほっときゃよかったのよ。あんな役立たずの馬鹿犬。早く死ねばいいのよ」
「……」
獣医に連れて行ったほうが…と言おうとしていたが、その言葉をグッと飲み込んだ。
そう言ったところで連れて行かないのは明白だった。
二週間前に入居して以来の悪印象はこの一言でさらに決定的なものとなった。

〈ああ、とんでもない家に来ちゃったな…〉
後悔した。
もう今夜にでも出て行こうかと思ったが、自分の不注意で傷つけてしまったオリュンポスの事が気がかりだった。
彼女はこれまで一度も犬を飼った事は無いが、家族に虐められ、残飯のみ与えられているあの犬を何故か放って置けないような気がした。
〈犬の傷がいえるまでは我慢しよう…〉
そう思い、外へ出て犬の所まで歩いて行き頭を撫でた後、自分の1畳の物置に引取って眠った。
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まとめwoネタ速neo 2012/06/10(日) 13:47
アンドニオは、朝早く出勤し帰りは5時過ぎ、近くの精肉工場で週六日働いている。望詩の仕事は炊事洗濯掃除に子供の送迎、但し「料理できる?」と確認した割に料理は全てアンドニオ

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