笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒2金の無い日々2

2012/05/25 16:23|連載小説ワーホリの覚醒2TB:1CM:1
「畜生!」
と周りを見回したがここには酒が無い。
外に行けばいくらでも売っているが、今のアスオにはビール一本買う金も無かった。
今日も職探しに奔走したが、結果はこれまでと同様芳しくなく、麗蘭におんぶにだっこの生活が続いている。
「こんな時は景気のいい音楽でも…」
とCDに手を伸ばした時、大学から麗蘭が戻ってきた。
「今日はどうだった?」
いつものように明るい声で問いかけ、白いソファーに座る。
「また駄目だったよ。明日からは戦法を変えようと思っている」
「どう変えるの?」
「フルーツピッキングさ。これまではビザのサポートしてくれそうなとこばかり当たってたけど、この際仕方がねえ」
「別にここには長くいていいのよ」
「そうはいかねえ、そのうちあいつが帰ってくるからな…」
あいつとはもちろん路男磨の事である。
だが、当の路男磨は麗蘭が新居に移ったこともアスオと住んでいる事も全く知らなかった。

麗蘭の持っているCDはアスオの知らないものばかりだった。
元々音楽に興味の無い彼は、歌手の名前も五人ほどしか知らないが、目の前のラックに並んでいるのはどうもテレビに出てくる有名歌手のものとは違うらしい。
「ねえ、チョッピンって何?バンド名?」
アスオはその中から一つ摘んで麗蘭に聞いた。
「チョッピン?」
彼女は怪訝な顔でソファーから立ち上がりそれを見た。
「何言ってるのよ。ショパンよ、ショパン。知らないの?」
ぜんぜん…と、アスオは口をポカンと開け間抜けな顔で首を横に振った。
「じゃ、これは?ドブ、ドブシー?」
彼はもう一つラックから摘み上げて麗蘭に見せた。
「それはドビュッシー」
「……」
アスオは何ともいえない曖昧な微笑をもらし―
「これも音だけのやつ?」
と麗蘭に聞いた。
「そうよ」
と彼女が答えると―
「俺は一人でドビュッシー…」
ボソリと呟き、ベッドルームに消えた。

麗蘭が新しく買ってくれたエアマットレス上にごろりと仰向けになる。
「あ~あ、茶摘か…」
実はアスオは田舎が生理的に嫌いだった。
彼は都会のネオンに映えるブロンド美女を嘗め回すように見るのが好きだった。
まして、ファームなんて野菜と果物、生き物といえばハンケツのオヤジと羊くらいしかいないではないか…。
彼はとにかく回りに人、いや正確には女がいないと落ち着かないタイプだった。
「いやだいやだいやだいやだ…」
彼は声を出し裏返しのゴキブリのように足をバタバタさせた。
しかし、いい考えは浮かばない。
このまま麗蘭の世話になるのはいくらどあつかましい彼でも気が引けるし、それに白人にしか興味がない言え、彼女ほどの美人、何かの拍子に押し倒してしまう可能性は十分にあった。
アスオはこの国で普通に行われている男女お構い無しのハウスシェアというものが出来る性格ではなかった。
一つ屋根の下にいる男女は合体するのが当たり前という原始的な考えの持ち主だった。

外はもう暗くなっていた。
ビルの隙間から大きな満月が覗いている。
彼の精力は常に絶倫、加えてフラストレーションも高かった。
このような夜は何を仕出かすか分からない。
「そうだ…早めに抜いておこう」
彼はバックパックの中から、一冊のヨレヨレのエロ本を取り出した。
柔道部の友人がくれたものだが、もう随分使い込まれて、何枚かページが外れている。
「また、ズリセンか…」
彼はしみじみとそのエロ本を見た。
こっちに着てから、素人とは寝ていなかった。
売春宿に3回行っただけだ。
「パツ金の処女と寝てえ…」
彼はエロ本に話しかけた。
「もし、ズリセンを止めたら願いを叶えてくれるかい?」
彼はふとどこかで聞いた中国の故事を思い出した。
〈昔中国のどっかの王は隣国の王の女を寝取る為、豚の糞を食い、針山の上に寝て願をかけたという。確か…がしん…がしんまんまん、いや、違うな、がしんびんびん…〉
「ああ思い出さん!」
アスオは部屋を出てラウンジで足を組んでテレビを見ていた麗蘭に聞いた。
「それは臥薪嘗胆でしょ。由来は春秋時代の呉越の戦い。意味は屈辱の報復を誓いその目的の為に耐え忍ぶ事―だったと思うわよ。それから寝たのは薪の上、舐めたのは苦い胆、読んで字の如くよ」
と呆れ顔で言った。
そんな長い説明、アスオにはもちろん覚えられない。
要は耐えればいいことがあると理解した。
「レイラ、早くから外国出てるのによく知ってるな」
「常識よ!」


「そうか、願いを叶える為にはそれなりの努力と忍耐がいるんだな」
アスオは部屋に戻りまたエロ本を見ながら言った。
「これでさよならだ」
彼はページを開いて大股開きのパツ金に語りかけた。
精神を統一し、ジーンズを膝の所までおろす。
シャカシャカシャカシャカ…ドピュッと木工用ボンドを紙の上に放出してはべチャリと閉じる。
それを何度も何度も繰り返した。
「これで明日の朝にはパリパリだ。誰も開くことは出来ない―」
アスオは固形化した本をゴミ箱にポイと捨てた。
だが、そのゴミ箱の中に斜めに入った本の表紙モデルの顔は、歪んで泣いているように見えた。
〈あんなに世話になったのに悪いな―〉
タマの空になった後のアスオは妙に感傷的だった。
「すまなかった…」
彼はそう表紙に詫びると、それをゴミ箱から取り出してうやうやしくクローゼットの中に入れた。
「レイラ、俺は明日ここを出る。置き土産だ…」
と、そっと扉を閉めた。
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#|2012/05/27(日) 03:18 [ 編集 ]
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まとめwoネタ速neo 2012/05/25(金) 21:47
「畜生!」と周りを見回したがここには酒が無い。外に行けばいくらでも売っているが、今のアスオにはビール一本買う金も無かった。今日も職探しに奔走したが、結果はこれまでと同様...

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