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オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒―英語学校19

2011/12/24 18:34|連載小説ワーホリの覚醒1TB:0CM:2
「でもあいつ、歌上手かったわね…」
路男磨の別れ際の歌「Everything About  You」が頭の中を回って彼女はなかなか寝付けなかった。
彼女は彼と始めて会った時の事を思い出していた。
実はシドニー大の芝生の上で仮面をつけて会ったのが初めてではない。
一番最初は彼がセントラルの駅で車椅子の障害者の降車を手伝っている時だった。
その時「英語も出来ないのに…」と感心もし、その端正な横顔にドキリとしたのを覚えている。
その後路男磨は気付かなかったが彼女は電車やバスの中で彼を数度見かけていた。
その都度声をかけようかと思ったがどうしてもきっかけがつかめなかった。
初めて話したのが仮面をつけてあったシドニー大の芝生の上。
近くで見る貴公子然とした彼の容貌に思わず声が上ずりそうになった。
そして一緒に写真を撮ったブルーマウンテン。
実はあれは偶然ではない。
あの前日にアスオからそのことを聞いて急遽予定を変更し友人のアッシュリーに頼んで一緒に行ってもらったのだった。
その時、もっと話したかったのだが、彼と一緒にいた望詩に遠慮してそれほど話せなかった。
他の二人が彼女に冷たいのに対し、彼のみ優しい言葉をかけていたのを見てさらに心を惹かれたが、二人の間に漂う空気に穏やかならぬものを感じたのも事実である。

その彼がへんてこな歌を残して自分の元から去った…。
「あんなキチガイもうどーでもいいじゃない」
とは不思議と思わない。
麗蘭には色んな男から毎日のように声がかかってくる。
中には医学部で医者の息子、おまけにハンサムと言うのもいるが、彼らには何も特別なものを感じなかった。
だが…その特別なものを何故かは分からないがワーホリで精神病の路男磨には感じるのである。


翌朝は風も止み、雲の合間からシャワーのように光が洩れていた。
丘を下り公園の角にさしかかった時、ふと昨日の現場が見たくなった。
夜通しの風で芝生の上には木の枝葉が散らかっている。
その先の例の三角地の方を見ると昨日彼らが争った辺りに黒い物体が3つ落ちていた。
内二つは覆面だ。
「馬鹿な事したものね…」
麗蘭は雨に濡れた覆面を拾った。
もう一つは―財布のようだった。
それも拾って中を開いた―
「あっ―」

彼女は黒い覆面はフェリー乗り場のゴミ箱に捨て、黒い財布は自分の手の中に握った。
朝の光を浴びて、クレモーン岬の向こうから玩具のようなフェリーがこちらに泳いでくる。
麗蘭はこの朝の童話のような景色が好きだった。
彼女は高校は北地区であったが、大学は西地区にある。
本来なら西地区に引っ越した方が便利なのだが、彼女はむしろ喜んだ。
「フェリーで通学なんて、何て素敵なんでしょう!」
毎朝潮風に吹かれながら、彼女はシドニーの街に「おはよう」と声をかけるのである。

そのフェリーが静かに近付いてきてすぐ目の前に接岸された。
朝は殆どが乗船客で下船客は殆どいない。
その少ない人数の中に彼女は、予想通りの人物を認めた。

「また会ったわね」
彼の顔は頬の辺りが昨夜よりも痛々しく紫に腫れていた。
「ちょっと探し物があってね」
彼はそのまま麗蘭の前を歩き過ぎようとする。
「あなたの探してる物、これでしょ?」
麗蘭は黒い財布を差し出した。

二人はオープンになっているアッパーデッキ後部に立っていた。
彼女の長い髪が風に靡いて路男磨の頬をくすぐった。
「嘘つき…」
スクリューの吐く白泡が遠くまで伸びている。
「束縛したくなかったのさ―」
彼は遠ざかっていく岬の白い灯台を見ながら言った。
「これからどうするの?」
「日本人のいない所に行こうと思っている―」
「どのくらい?」
「さあ…」
麗蘭は自分の赤い財布をショルダーバッグから取り出し、中を開いて路男磨に見せた。
そこには路男磨の財布の中にあるものと同じものがあった。
「待つわ―」
彼女の右手が彼の左手をそっと包んだ。
フェリーはオペラハウスの手前を左に旋回し滑るように波止場に向かっている。
「長くなるかも知れない―」
路男磨は左手に力を入れた。
「いいわ。但し…クリスマスは一人にしないでね…」
エンジンの音が小さくなり船は人波に溢れるサーキュラキーに接岸した。


モスマンベイ
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ハルハル #-|2011/12/24(土) 19:54 [ 編集 ]
路男磨良かったね~(涙)。
しかし、路男磨って男前だったんだ・・・。(随分と謙虚な方)
しかも両思いを確認して一人去るなんて、かっこ良過ぎ。
やせ我慢を重ねてこそ男は色気を作ります。
Melozy #-|2011/12/26(月) 13:12 [ 編集 ]
有難う!!!
彼、これからどうなるんでしょうね。
ハルハルさん、よいお歳を!
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