笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒―英語学校7

2011/10/11 18:37|連載小説ワーホリの覚醒1TB:0CM:0
「あのう、すみません、写真を撮ってもらえませんか?」
降りてから、肩越しに日本語で声をかけられた。
振り向くと彼女が立っている。
横顔も美しかったが正面から見るとより以上に美しい。
露男磨は思わず見とれてしまい、暫く呼吸を忘れた。

彼女ら二人はスリーシスターズをバックに並んで立った。
どちらもトップモデルを圧倒するほどに顔もスタイルも抜群だった。
路男磨はプロのカメラマンのような気分になって少し緊張した。
当時はデジカメなるものは無い。
彼は失敗しないよう、霜が降りるが如く静かにシャッターを押した。
「いい写真が撮れたと思いますよ」
彼はカメラを彼女に返した。
「有難う」
彼女は溶けるような笑みを露男磨に向けた。
〈美しい…〉
路男磨はずっと彼女を見ていたかった。
だがその衝動を抑えて彼女に背を向けた。
〈もう二度と会う事はあるまい〉
胸の焼けるような思いがしたが、今の路男磨に彼女の連絡先を聞く勇気はなかった。

-とその哀惜の背中に-
「あの」
彼女が後ろから語りかけた。
路男磨は再び振り返った。
「すみません、御礼に写真を一緒に撮らせて貰ってもいいですか?現像したらお送りします」
彼女は控えめながらしっかりとした口調で言い、露男磨の住所と電話番号を聞くと共に、自分の住所と電話番号を書いた紙を彼に渡した。
彼女の名前は麗蘭(レイラ)と言った。

「じゃあ、私が撮ったげる」
麗蘭の連れのオージー女性が気を利かせてカメラを手に取った。
露男磨と麗蘭が同じ場所に並んで立つ。
「あ、あたしも!」
そこへ望詩が割り込もうとしたが、貫斗が後ろから彼女の襟をガバッと掴んで制止した。
麗蘭と露男磨は恋人同士のように寄り添い、シャッターが切られた。

その後彼女らとは同行動とまではいかなかったが、行く先々で一緒になった。
観光名所など行く所は大体同じである。
急傾斜を降る木のトロッコでも一緒になり、前の座席に座った彼女の長い髪が谷からの風に煽られて路男磨の鼻をくすぐった。

そのトロッコを降りてから谷の杣道をほんの少しの間並んで歩いた。
谷には背の高い木々が群生し、時折梢の間から覗く陽射しはいつもより眩しく感じられた。
その光が隠れると辺りは急に暗くなるが、隣を歩く彼女が路男磨の心を明るく照らした。
初対面であるから込み入った話はしない。
ただ普通に、何をしているのかどこに住んでいるのかといったありきたりな会話をした。
彼女は日本人であると言った。
確かに日本語は完璧であるが、容貌から察しておそらく西洋人とのハーフであろう。
大学生でシドニー北郊在住であると言う。
彼女は路男磨の目をしっかりと見て話し、常に微笑を絶やさなかった。
その翠の目に路男磨の気持ちは急速に吸い寄せられていった。
この谷間の杣道が永遠に続けばいいのにとも思った。


陽が山の端に隠れつつあった。
露男磨達4人はカトゥーンバ駅ホームのベンチに座り電車が来るのを待っていた。
山肌が青から柿色に鮮やかに染まっていく―。
気温がぐっと下がり、さっきカフェで買ったカップコーヒーの温もりが手のひらから伝わって飲むのが躊躇われた。
「なあ露男磨、あの子に電話するの?」
興味津々な顔つきで貫斗が話しかけた。
「あたし、あの子路男磨さんに気があると思いますよ」
幸の口調もやや興奮している。
その横で望詩は不機嫌に黙っていた。
「いや。この顔じゃ、彼女とは釣り合わないよ」
即座に露男磨は否定しコーヒーを飲み干した。
「え?」
3人は同時に顔を見合わせた。

帰りの電車の中-路男磨以外は呆気なく眠りに落ちた。
幸は貫斗の肩にもたれかかって眠っている。
路男磨の肩には望詩の涎がだらりと垂れていた。
露男磨もかなり眠い。睡眠薬を飲まされたような異常な睡魔に襲われている。
どうやら綺麗な空気を吸うと眠くなると言うのは本当らしい。
だがこれほどの眠気に襲われても、彼はどういうわけか乗り物の中で寝付けなかった。
窓の外は既に真っ暗。
その真っ暗な窓に麗蘭の美貌が浮かんでは消えた。

ブルーマウンテンの峡谷
Blue_Mountains_Australia.jpg

トロッコ(シーニックレイルウェイ)― 90年当時は木で出来ていて、頭上の金網も無かった、と記憶している。
blue-mountains22.jpg
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