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オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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ワーホリの覚醒-英語学校1

2011/09/20 22:58|連載小説ワーホリの覚醒1TB:0CM:0
ホストマザーステフィの家はシドニーの南、カールトンの小高い丘の上にあった。
朝、家を出ると眼下に朝日にきらめくボタニーベイが広がる。
路男磨はその景観を眺めつつ大きく冷気を肺に吸い込んでから丘を下り始めた。
今日が、英語学校の初日である。

15分歩いて丘の下にあるカールトンの駅で切符を買う。
こじんまりとしたベージュ色の駅舎に週末は駅員がいなかったが月曜の今朝はいた。
プラットホームには結構な数の人がいるが皆眠そうな顔をしている。
コーヒーを片手に持っている者が多い。
隣に立っていた背の高い女性がグシュンとくしゃみをして、赤い鼻をフゴゴゴーとかんだ。
そういえばステフィーも夕食時豪快に鼻をかむ。
彼女だけかと思っていたがどうやらこっちの人はどこでも鼻をかむらしい。

ホームにいる人々の顔はカラフルだった。
来てからずっと感じている事だが、街中だけでなく郊外の駅も似たようなもので、アジア人であるという違和感は全くなかった。
白豪主義とか聞いてきたのに見ると聞くとでは偉い違い。
「どこが白豪主義じゃい!」
と叫びたいような気分だった。

時は1990年。白豪主義は1973年に消滅し、シドニーは既に人種の坩堝と化していた。
といっても当時はまだ豪の世界的存在感は低く、時は今よりもゆっくりと流れ、日本から来たばかりの路男磨には随分と遅れているように見えた。

大きな警笛が鳴って銀色ボディーに2階建ての電車が南からホームに入ってきた。
2階建てと言えば聞こえはいいが車体は古ぼけ、中の茶色のシートには穴があいていた。
路男磨は見晴らしのいいアッパーデッキに座った。
電車はガタゴトとよく揺れるが、車内の人間の顔は明るく、女子高生たちの笑い声も聞こえる。
ロックデール、アーンクリフ、セントピータース、各駅停車の列車は街に近づくにつれ乗客が増え、線路沿いのレンガ壁の落書きも増えていく。
約25分後、電車はセントラルステーションの地下に入った。
降りて階段を上がり長い地下道を抜けてブロードウェイにでる。
彼の学校はそこから歩いて20分のオルティモという地区にあった。

「みなさーん。テストの時間は50分でーす」
英語学校の先生が職業病的にゆっくりと大きな声で言った。
広いフォイヤーに小さなブックレストの付いた椅子が40ほども並べられ、各国からの留学生が神妙な顔付きで座っている。
その8割方はアジア人だった。
問題数は30問。
一見中学のレベルだ。
〈馬鹿にしてる〉
仮にも路男磨は一年だけだが大学にも行った。
彼はチンタラと質問に取り組んだが、さっきからどうも気になっている事がある。
右斜め後ろに座っている女と左斜め前の男。
さっきチラッと見ただけだが、女のほうはオペラハウスの妖怪。
男のほうはピットストリートの変態…。
二人とも一度見たら二度と忘れられない顔を持っていた。
まず間違い無い。
〈こんなに早く再会するとは…〉
路男磨は週末の出来事を思い出していた。
「グフ、グフフフフ…」
彼の腹はヒクヒクと痙攣し、どんなに努力しても思い出し笑いが止まらなかった。
笑いを堪えれば一段と笑いが湧く。彼は顔を真っ赤にして前に伏せてむせた。
「はーい。時間でーす!」
先生が解答用紙を集め始めた。
「そ、そんな?50分じゃないんですか?」
路男磨は抗議した。
「いいえ15分です」
その女の先生はきっぱりと言い、路男磨から解答用紙を取り上げた。
彼はまだ2問しか答えていなかった。

「では今から名前を読み上げる人はAクラスへ行ってくださーい」
頭の良さそうな連中がフォイヤーから教室へ去っていく。
その殆どはヨーロッパ系だった。
先生はBクラスCクラス…と順次読み上げEまで読み上げた後に7人の生徒が残った。
「あなた達はEスペシャルゥ!」
女の先生はわざとらしい笑顔で言った。
「Eスペシャルゥだとォ!?スペシャル馬鹿と言う事かっ!」
路男磨は思わず声が出た。
メンバーを見ると、みんな恐ろしく頭の悪そうな顔をしている。
しかも例の二人もいるではないか。
「先生、ちょっと待ってください。もう一度テストを受けさせてください。僕はフィフティーンとフィフティーを聞き間違えたんです」
路男磨は立ち上がってたどたどしい英語で懇願した。
こんな馬鹿どもと同類などプライドが許さなかった。
その時、
「フン、十五と五十の聞き取りも出来ない奴がよく言うぜ」
あの男が日本語で言った。
「何っ!千マスオがっ!」
つい本音が出た。
「フン、それを興味津々と覗いていたのは誰だい?」
男は脇をむいたまま言った。
〈こいつ、気付いていたのか!?〉
また負けた―。
路男磨は力なく椅子に座った。


カールトンの駅
280px-CarltonR1.jpg
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