笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
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おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


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メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人4

2011/07/28 17:22|私立探偵中出好男TB:0CM:0

好男は今日本からオーストラリアの玩具事情を調査にきている大手玩具会社の重役という触れ込みで隣の家に江津子と共に上がりこんだ。
二人の後ろから目を怒らせたマー君が隠れるようについて来ているのが
どこか不気味だった。

家は二階建ての豪邸でカーポートにはベンツの四駆が止まっている。
玄関のドアは両開きで通常の2倍の大きさだった。
「どうぞどうぞ、うちのこの玩具を見てやってください」
オージーのおばさんは愛想がよく、容疑者の二人の子供もそこにいた。
上は男の子で6歳、下は女の子で4歳。
二人ともさらさらの金髪で人形のように可愛かった。
人を見かけで判断してはいけないが、この二人がどう見ても人の家に忍び込んで盗みをするとは思えなかった。
まして鍵型を粘土で取るなんて…。
また持っている玩具の種類は至って平凡で男の子はプラスチック製の車や飛行機が多く、女の子はぬいぐるみが主だった。
家の中は片付いていて裕福なのは外見と同じである。
家具調度品も高級なものが多かった。
まだこの家の主人には会っていないがどう考えてもこの一家が盗みを働くとは想像が出来ない。
「いやどうもお世話になりまして―いい参考になりました」
と礼を言って家を出ようとした時―
「返せ!僕の鉄人を返せ!どこにかくした!?」
突然マー君が狂ったように二人の子供に襲い掛かり殴る蹴るの乱暴をし髪の毛を引っ張った。
二人の子は余り突然であったため防戦一方で殴られっぱなしになっている。
「何をするのこの子は!」
隣のおばさんと江津子が慌てて間に割ってはいりマー君は二人の子から引き離された。
彼の手に握られた無数の金髪が痛々しかった。

「どういう事ですのこれは?」
隣のおばさんは怒りを露に江津子を問いただした
「アイアイアイ…アイム、ソソソソーリー」
江津子は大柄なおばさんに上から睨まれて激しくどもった。
普段お高くとまっているが存外小心者なのかも知れない。
事情は英語の苦手な彼女に代わって好男が説明した。
彼は正規の教育等一切受けてはいないが、日々ホームレス仲間と馬鹿話をして会話だけはネイティブと殆ど変わらないレベルに達している。
「そういう事情だったの。私達盗んでなんかいないわ。あ、そういえばあなたの家の左隣のおじいさん、趣味は昔の玩具集めだって言ってたわ。
ブリキの機関車とかいっぱい持ってるって自慢してたわよ」
「なにっ!」
好男の目とマー君の目が同時に光った。

好男達三人は今度は左隣の家に向かった。
「あのこういうものですが」
今度は単刀直入に名刺を差し出し事件の調査に協力してほしいと切り出した。
半分ほど開いたドアから、いかつい顔を出した老人はジロリと好男を見た。
身のすくむような鋭い視線である。
「何だ探偵か?」
白髪の老人は別に驚きもせず三人を中に招じ入れた。
「おおっぅ!」
と三人は中の様子に息を呑んだ。
家の中には鉄道模型のレールが敷かれ機関車が走っている。
その他アーミーのジオラマ、また戦車や戦闘機、日本の零戦も天井から吊り下げられていた。
〈どこかに鉄人が隠されている!〉
好男達3人が3人ともそう思った。
マー君の目つきの悪い視線が激しく動く。
「おぬしらわしを疑っておるな。言っとくが、わしゃ子供の玩具を盗むほど落ちぶれちゃあせんよ」
老人そう言うと煙草に火をつけた。
「ところで老人、3日前の3時から4時の間、あなたは何をしていましたか?」
老人は煙草の煙を口を尖らして吐き出し、一つ二つ三つと白い輪を宙に浮かした。
それが天井に向かってゆらゆらと上っていく。
老人は、好男達等そこにいないかのように、暫く岩のように黙りこんでいた。
そして―
「その犯人とやらだがワシには大体の見当はついている」
とゆっくりとした口調で言った。
「犯人を知っていると?」
好男は探るように聞いた。
「ワシではない」
「ええそれはさっき言いました」

老人は今度は煙草を肺の中に吸い込んでから1分以上も息を止めた後、フーッと大きく煙を吐いた。辺りに異様な匂いが広がる。
好男達は思わず鼻をそむけた。
だが老人はそんな事には頓着せず、
「いいだろう、ガレージに梯子がある。それを持って私についてきなさい」
と命令するように好男に言った。

好男は梯子を抱え江津子の家のサイドアリーを抜けて裏庭に回った。
正確には家の裏側の屋根の角の下に立っている。
「ここに梯子を置きなさい」
老人はその位置を指差して好男に言った。
「よし、ワシについてくるんじゃ」
老人は先に立って梯子を上り始めた。
意外にも身のこなしが早い。
〈やはりこの爺くさい〉
好男はこの老人に対し最初から只者ではない気配を感じていた。
もしかしたらプロの盗人かもしれない―という疑いが強くなっている。
好男と老人は屋根の上に立った。
「ほらここならワシの家のガレージの屋根から楽々飛び移る事ができる。しかも表通りからは死角になって見えない」
老人はガレージのトタン屋根を指差しながら言った。
「じゃ、やっぱりあんたが犯人?」
風が強い。好男は屋根の上でふらつきながら言った。
「馬鹿なことを言うでない。ここを見ろ!」
老人は屋根の一部を指差していった。
好男はその指されたあたりを注視した。
しかし何の異常もないように見えた。
「もっとよく見ろ、ここじゃ、ここを見るんじゃ」
老人は今度は指でその部分に触れながら言った。
「こっ、これは?」
よく見るとその部分だけ屋根の色と違っている。
屋根は緑色だったがその部分は色あせた赤だった。
つまり誰かが最近動かしてそのずれた部分が露出しているのである。
屋根自体は古くない。恐らくオーナーが元の赤色が気に入らず緑に塗り替えたのだろう。
「じゃあ、犯人は屋根から?」
「当たり前じゃ。泥棒の基本じゃ。屋根は乗っかてるだけなんだからな」
「何だと!?」
好男は目を三角にして聞いた。
「あんたそんな事も知らずに探偵やっとるのか?なんなら試してみろ」
好男は言われたとおり腰を屈め屋根瓦を一枚剥がそうとした。
だが剥がれないし、下にもずらせなかった。
「あんたやっぱり素人だな」
老人は呆れたように好男を見ていった。
「ほら、上の瓦を上にずらしてから下を引くんじゃよ。そうするとほら」
と実演して見せるとそこにぽっかりと穴があいた。
「人が通れるくらいの穴をあけるのに2分もかからんよ。ほら見ろ、そこに最近人の歩いた後がある」
好男が覗くと、なるほど太陽の光に照らし出された屋根裏の底は埃にまみれ、そこに足跡が残っている。
「ほらあそこにハッチが見えるだろう。犯人はあそこで靴を脱ぎハッチを空けて中に入ったんじゃ。ハッチは普通ランドリーの天井にあって大抵のっかっているだけ。しかもその下は洗濯機があることが多い。だから梯子もいらんのじゃ。昔は天井を見ればすぐわかったが、最近は目立たないように天井の色や模様にディスガイズされてある。しかしその程度の事に気がつかんとはあんた探偵失格じゃ。オーストラリアの一軒家に密室は無いのじゃ!」

好男は言葉に詰まった。
オーストラリアに来て以来まともな家に住んでいない。
まともな家どころかビザも無ければ車の免許も無い。
その一般社会とかけ離れた生活のギャップがこんな所に常識不足となって現れている。
「今の会話聞かれなかっただろうな?」
好男は屋根の下に視線を伸ばした。
「探偵さん何か分かったの?」
と言う江津子の声が返ってきた。
どうやら聞こえなかったらしい。

≪つづく≫
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