笑顔の下の本音をさらし、心の奥底の情念をむき出しにし、意のままにならぬ世間をぼやき、たいしたことも無い日常をご報告するブログです。

オーストラリアの青い空
http://melozy.blog.fc2.com/ presented by おーあお

プロフィール


おーあお

Author:おーあお
1990年より在豪、6年シドニーに住んだ後、メルボルンへ。
嫁は英国人、息子はオージー。そして私は日本人。国籍もバラバラなら思想もバラバラ、何もかもバラバラなまとまりのない家族です。
唯一の共通点は、猫好き♥


最新記事



カテゴリ



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カレンダー


09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


全記事表示リンク


全ての記事を表示する


スポンサーサイト

--/--/-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人5(最終回)

2011/07/31 20:42|私立探偵中出好男TB:0CM:0
5(最終回)
犯人は隣のガレージの屋根からこの屋根に飛び移り白昼短時間で目的を達した―と言うことは犯人はこの老人の後ろ隣の家、つまりは―視線をその家に移した。
窓にはカーテンがかかっていて中は見えないが、庭の様子は良く見えた。
「おや」
と小さな物体が視界に入り、焦点を小さな砂場に集中すると、鉄人サンダースと思われる超合金が砂にまみれてあるではないか。

好男の視力は推定9.5。暗闇と覗きで鍛えられたその目は砂の粒まで虫眼鏡のように見えるのだ。
「あった、あったぞ。奥さん、マー君、この中出好男が鉄人を見つけたぞ!」
「え、おっさん本当なのか?」
マー君は喜びの余り飛び跳ねるように梯子を上ってきた。
そのマー君の足が屋根にかかろうとした時―
「あっ」
と彼はバランスを崩した。
好男はそのすぐ側にいた。
こういう時映画なら
「俺の手につかまれ!」
とサッと手を伸ばすところだが、さっきから好男は右耳の奥に猛烈な痒みを感じていた。
マー君の手を掴むか右耳を掻くか彼の右手は迷っている。
その時―あのショッピングセンターでの言いようのない不快な思いが走馬灯のように脳裏を駆け巡った。
その瞬間好男の右手は右耳を搔いていた。
「あーっ」
の声とドサッと鈍い音があたりに響いた。
「マ、マー君大丈夫!」
慌てふためいた江津子が駆け寄ってマー君を抱き起こした。
しかし彼はぐったりしている。

そこへ、老人と好男がゆっくりと梯子を伝って降りてきた。
老人はマー君の横に膝をかがめるとその首筋にそっと手を触れた。
「ご臨終です。打ち所が悪かったですな」
と首を横にゆっくりと振り事務的に答えた。
「奥さん、昔テニスボールをとろうとして崖から落ちて死んだ日本人の事を思い出したよ。小に拘り大を失う。玩具の一つや二つで大騒ぎして探偵まで雇う。そのあなたの盲愛が彼の命を奪ったのです」
好男は江津子を上から見据え拳を振って講釈した。
「なんなのよこんな時に―普通こんな時は“早くっ救急車だっ”て焦りまくるのが基本でしょ?あなた人の情がないの?」
江津子は金切り声を上げる。

好男はそれを完全に無視し、今度は老人に向かっていった。
「老人、ところであなたの名前は?」
「わしかい、わしはフロイラン パリィ」
老人はまた煙草を取り出し、古風にマッチで火をつけた。
一仕事終えた後の充実感がその仕草に現れている。

「ところで老人、犯人は何故超合金だけを盗んだんでしょう?」
「実はな、あの家の主は昔日本に住んどったらしい。主の父親が日系企業に勤めていてな」
「もしや、その父親があの超合金の設計者?それで懐かしくなって―」
「いや違う、彼は子供の頃日本の田舎にいたそうじゃが、パツ金と言う事で滅茶苦茶虐められたらしい。いつも超合金ロボで殴られてな、体は痣だらけだったそうじゃ?」
「それで超合金を見ると―」
「そうじゃ。幼児期の恐ろしい体験が今尚超合金シンドロームとして彼を苦しめているのじゃ」
「なんと可愛そうに…」
好男は目頭に手を当て鼻をすすった。

「ところで老人あなたの前職は?」
「刑事じゃ。かつては夜明けのパリパリと恐れられたもんじゃ」
「やはり…。今後あなたは私のパートナーだ。よろしいかな?」
「いいだろう」
老人は鷹揚に頷いた。
二人は熱く握手を交わし何も無かったようにその場を後にした。

江津子はその様子をポカンと口を開けて見ていた。
「ちょっと行っちゃうの?」
江津子がまた甲高い声を上げる。
その声も二人は無視して振り返らず歩み続ける。
「ちょっと助けてよ。こんな時英語なんて話せる心境じゃないわ。救急車くらい呼んでよ!」
その声を受けて好男の歩みのみが止まった。
老人はそのままの歩調で歩み去っていく―。

好男は回れ右をし江津子のほうに歩き始めた。
彼女の顔に安堵の色が走る。
好男は江津子と向かい合う形で膝を屈めそっと白い封筒を渡し、
「ご愁傷様です」
と江津子の目を食い入るように見た。
彼女はその封筒を震える手で開けた。
中からは請求書が出てきた。額面は―5500ドル!?
10%の消費税もしっかり加算されている。
「そんな、法外な!」
江津子は怒りにその紙片を好男に投げつけた。
「正当な額です。私はプロ中のプロ。己の安売りはしない主義でね。
3日以内に払ってください」
「あ、そんな事より救急車!救急車を呼んでよ」
江津子は好男の肩をゆすって催促した。
「奥さん、過ぎ去った過去にいつまでも拘るものではありません。子供の一人や二人僕がいくらでも作ってあげますよ」
と好男は妖しい視線を投げた。

江津子はその不気味さにごくりと唾を飲み込んだ。うなじが震えている。
「奥さんっ―」
鼻の穴を膨らませた好男はいきなり江津子を抱きしめ唇を吸った。
「な、何をするの!?子供の死体の前で!」
江津子は好男を激しく突き放した。
「奥さんっ、奥さんはサラリーマンとの平凡な夜に満足していない。だから子供が一人しか出来ないんです。僕があなたを別世界へとお連れしますよ」
図星であった。江津子は確かに刺激を求めていた。彼女はひるんだ。
「さあ奥さん、僕の目を見るんです。全てを忘れて僕の胸の中へ―」
いけない―と思いつつも江津子の瞼の奥の欲望は、好男の細い目の中に吸い取られていった。
彼は不細工であったがこの細い目には不思議な魔力が備わっている。
この目で過去何度もホームレスの女をいわしてきた。
もしかしたら彼の知らない所に彼の子供がいるかもしれない。
だがそんな事はどうでもよかった。
彼の使命は子供を作る事で育てる事ではない。
江津子の心の動揺を見透かした好男は再び彼女を抱き寄せた。
彼女は意思を失った人形のように彼の腕の間にすっぽりと嵌った。
「フフフいい娘だ」
好男は再び彼女の唇を吸った。
そして次に、彼は彼の名前に忠実であるべく江津子の赤いスカートの裾をまくりあげ黒いGストリングに手をかけた。
「だめよ―よしお.さ.ん…」
だがその抵抗は弱いものになっていた。
好男の手が江津子の敏感な部分に触れたとき彼女の体はビクリと痙攣し、
熱い吐息が洩れた。
「あ~好男さん―」
江津子はとうとう好男を受け入れてしまった。
「すごいわ好男さん…」
元ホームレスの野獣の咆哮は平凡なサラリーマンの比ではなかった。
好男は死肉に群がるハイエナのように江津子を貪り、江津子の肉体はそのハイエナのなすがままに食いちぎられていった。
激しい交わりの末、背中をサソリのようにそりあげると、
「なかでよしおここに推参!」
絞り出すような声でそう叫んで好男は果てた。

と―その時、
「おじさん何してるの?」
と死んでいたはずのマー君が口を動かした。
「マー君生きていたの?」
好男の体からスポッと飛び離れた江津子は胸をはだけたままマー君を抱きしめた。
「うんママ、僕が悪かったよ。超合金の玩具なんてもう要らない」
マー君は頭を強くうった衝撃でよい子になっていた。
「そうだマー坊。これからママのお腹から生きた玩具が生まれて来るんだ。小さなことに拘ってちゃ、いいお兄ちゃんにはなれないぞ!」
好男は前をおもむろにしまいながら言った。
「うん!」
マー君はオーストラリアの青空のように澄み切った目で大きく頷いた。

♥ハッピーエンド♥

ドラマ化決定か!?

20100808063257.jpg

あとがき
みなさ~ん!最後までちゃんと読んでくれた?
この物語の本意、それは犯罪促進ではなく、「日本人を犯罪から守りたい」との一心なのよ。
わかってもらえたかな?

ところで加筆点が二つあります。
一つは車のナンバープレートは必ずワンウェイネジ(締めるの方にしか回らないもの)で取り付けた方がいいと言う事。
ワンウェイ専用のドライバーもあるけど、狙われる率は下がります。
ガソリンの値段が上がるとプレートの盗難は増えるんです。

もう一つは車のリヤウィンドウに怪しい張り紙を見つけてもエンジンをかけてから車を降りたりしないで下さい。
悪い奴が近くに潜んでいて車だけでなく、ハンドバッグもついでに盗まれてしまいますよ。
この手口は一時ニュースにもなったから知っている人もいますよね。

筆者は、体も内臓もボロボロですが、闘争心だけは衰えないのであります。
以前は正社員でしたが今はフリーターとなって、強盗現場に誰よりも早く駆けつけ、世の悪と戦っているのです。
でありますから、内容は経験に基づいたものであり単なる想像やあてずっぽうではないんですよ。

MK 寄稿
スポンサーサイト

メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人4

2011/07/28 17:22|私立探偵中出好男TB:0CM:0

好男は今日本からオーストラリアの玩具事情を調査にきている大手玩具会社の重役という触れ込みで隣の家に江津子と共に上がりこんだ。
二人の後ろから目を怒らせたマー君が隠れるようについて来ているのが
どこか不気味だった。

家は二階建ての豪邸でカーポートにはベンツの四駆が止まっている。
玄関のドアは両開きで通常の2倍の大きさだった。
「どうぞどうぞ、うちのこの玩具を見てやってください」
オージーのおばさんは愛想がよく、容疑者の二人の子供もそこにいた。
上は男の子で6歳、下は女の子で4歳。
二人ともさらさらの金髪で人形のように可愛かった。
人を見かけで判断してはいけないが、この二人がどう見ても人の家に忍び込んで盗みをするとは思えなかった。
まして鍵型を粘土で取るなんて…。
また持っている玩具の種類は至って平凡で男の子はプラスチック製の車や飛行機が多く、女の子はぬいぐるみが主だった。
家の中は片付いていて裕福なのは外見と同じである。
家具調度品も高級なものが多かった。
まだこの家の主人には会っていないがどう考えてもこの一家が盗みを働くとは想像が出来ない。
「いやどうもお世話になりまして―いい参考になりました」
と礼を言って家を出ようとした時―
「返せ!僕の鉄人を返せ!どこにかくした!?」
突然マー君が狂ったように二人の子供に襲い掛かり殴る蹴るの乱暴をし髪の毛を引っ張った。
二人の子は余り突然であったため防戦一方で殴られっぱなしになっている。
「何をするのこの子は!」
隣のおばさんと江津子が慌てて間に割ってはいりマー君は二人の子から引き離された。
彼の手に握られた無数の金髪が痛々しかった。

「どういう事ですのこれは?」
隣のおばさんは怒りを露に江津子を問いただした
「アイアイアイ…アイム、ソソソソーリー」
江津子は大柄なおばさんに上から睨まれて激しくどもった。
普段お高くとまっているが存外小心者なのかも知れない。
事情は英語の苦手な彼女に代わって好男が説明した。
彼は正規の教育等一切受けてはいないが、日々ホームレス仲間と馬鹿話をして会話だけはネイティブと殆ど変わらないレベルに達している。
「そういう事情だったの。私達盗んでなんかいないわ。あ、そういえばあなたの家の左隣のおじいさん、趣味は昔の玩具集めだって言ってたわ。
ブリキの機関車とかいっぱい持ってるって自慢してたわよ」
「なにっ!」
好男の目とマー君の目が同時に光った。

好男達三人は今度は左隣の家に向かった。
「あのこういうものですが」
今度は単刀直入に名刺を差し出し事件の調査に協力してほしいと切り出した。
半分ほど開いたドアから、いかつい顔を出した老人はジロリと好男を見た。
身のすくむような鋭い視線である。
「何だ探偵か?」
白髪の老人は別に驚きもせず三人を中に招じ入れた。
「おおっぅ!」
と三人は中の様子に息を呑んだ。
家の中には鉄道模型のレールが敷かれ機関車が走っている。
その他アーミーのジオラマ、また戦車や戦闘機、日本の零戦も天井から吊り下げられていた。
〈どこかに鉄人が隠されている!〉
好男達3人が3人ともそう思った。
マー君の目つきの悪い視線が激しく動く。
「おぬしらわしを疑っておるな。言っとくが、わしゃ子供の玩具を盗むほど落ちぶれちゃあせんよ」
老人そう言うと煙草に火をつけた。
「ところで老人、3日前の3時から4時の間、あなたは何をしていましたか?」
老人は煙草の煙を口を尖らして吐き出し、一つ二つ三つと白い輪を宙に浮かした。
それが天井に向かってゆらゆらと上っていく。
老人は、好男達等そこにいないかのように、暫く岩のように黙りこんでいた。
そして―
「その犯人とやらだがワシには大体の見当はついている」
とゆっくりとした口調で言った。
「犯人を知っていると?」
好男は探るように聞いた。
「ワシではない」
「ええそれはさっき言いました」

老人は今度は煙草を肺の中に吸い込んでから1分以上も息を止めた後、フーッと大きく煙を吐いた。辺りに異様な匂いが広がる。
好男達は思わず鼻をそむけた。
だが老人はそんな事には頓着せず、
「いいだろう、ガレージに梯子がある。それを持って私についてきなさい」
と命令するように好男に言った。

好男は梯子を抱え江津子の家のサイドアリーを抜けて裏庭に回った。
正確には家の裏側の屋根の角の下に立っている。
「ここに梯子を置きなさい」
老人はその位置を指差して好男に言った。
「よし、ワシについてくるんじゃ」
老人は先に立って梯子を上り始めた。
意外にも身のこなしが早い。
〈やはりこの爺くさい〉
好男はこの老人に対し最初から只者ではない気配を感じていた。
もしかしたらプロの盗人かもしれない―という疑いが強くなっている。
好男と老人は屋根の上に立った。
「ほらここならワシの家のガレージの屋根から楽々飛び移る事ができる。しかも表通りからは死角になって見えない」
老人はガレージのトタン屋根を指差しながら言った。
「じゃ、やっぱりあんたが犯人?」
風が強い。好男は屋根の上でふらつきながら言った。
「馬鹿なことを言うでない。ここを見ろ!」
老人は屋根の一部を指差していった。
好男はその指されたあたりを注視した。
しかし何の異常もないように見えた。
「もっとよく見ろ、ここじゃ、ここを見るんじゃ」
老人は今度は指でその部分に触れながら言った。
「こっ、これは?」
よく見るとその部分だけ屋根の色と違っている。
屋根は緑色だったがその部分は色あせた赤だった。
つまり誰かが最近動かしてそのずれた部分が露出しているのである。
屋根自体は古くない。恐らくオーナーが元の赤色が気に入らず緑に塗り替えたのだろう。
「じゃあ、犯人は屋根から?」
「当たり前じゃ。泥棒の基本じゃ。屋根は乗っかてるだけなんだからな」
「何だと!?」
好男は目を三角にして聞いた。
「あんたそんな事も知らずに探偵やっとるのか?なんなら試してみろ」
好男は言われたとおり腰を屈め屋根瓦を一枚剥がそうとした。
だが剥がれないし、下にもずらせなかった。
「あんたやっぱり素人だな」
老人は呆れたように好男を見ていった。
「ほら、上の瓦を上にずらしてから下を引くんじゃよ。そうするとほら」
と実演して見せるとそこにぽっかりと穴があいた。
「人が通れるくらいの穴をあけるのに2分もかからんよ。ほら見ろ、そこに最近人の歩いた後がある」
好男が覗くと、なるほど太陽の光に照らし出された屋根裏の底は埃にまみれ、そこに足跡が残っている。
「ほらあそこにハッチが見えるだろう。犯人はあそこで靴を脱ぎハッチを空けて中に入ったんじゃ。ハッチは普通ランドリーの天井にあって大抵のっかっているだけ。しかもその下は洗濯機があることが多い。だから梯子もいらんのじゃ。昔は天井を見ればすぐわかったが、最近は目立たないように天井の色や模様にディスガイズされてある。しかしその程度の事に気がつかんとはあんた探偵失格じゃ。オーストラリアの一軒家に密室は無いのじゃ!」

好男は言葉に詰まった。
オーストラリアに来て以来まともな家に住んでいない。
まともな家どころかビザも無ければ車の免許も無い。
その一般社会とかけ離れた生活のギャップがこんな所に常識不足となって現れている。
「今の会話聞かれなかっただろうな?」
好男は屋根の下に視線を伸ばした。
「探偵さん何か分かったの?」
と言う江津子の声が返ってきた。
どうやら聞こえなかったらしい。

≪つづく≫
MK寄稿
greencover.jpg

メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人3

2011/07/23 21:31|私立探偵中出好男TB:0CM:0

『私立探偵 中出好男』
彼はついに開業した。
これから数々の事件を解決していくだけでなくその過程で人の弱みを握り、ゆすりたかりでも存分に稼ぐ予定だった。

事務所は彼の車。
無料ブログやフェイスブックでせっせと宣伝し連絡は携帯と無料メイルのみ。
しかし彼には自信があった。
“日本人探偵―メルボルン”で検索した所ヒットは一つもなかった。
つまり、地元警察に絶望した日本人被害者の頼れるのは“自分一人”しかいないと言う事だ。
しかし最初の一週間は全く電話がならなかった。
その間彼はいつものようにショッピングセンターやマクドナルドで残飯漁りに徹した。

「俺ももう一国一城の主。体力は十分につけておかないと―」
彼は今まで以上に貪婪に食い、道に落ちていたハンバーガーやチップスの食べ残しも鳥や猫を押しのけて食った。
そして食った後はビジネスの宣伝に徹した。
夜窓ガラスを割って侵入したコンピュータ屋からラップトップ、ワイヤレスモデム等を盗んだ。
警報が鳴ってもモニタリングセンターからセキュリティーガードに連絡が行くまで2分、それからセキュリーティーが来るまで20分、さらにそれからポリスが来るまで20分はかかる。
よほどののろまで無い限り捕まる事は無い。

その後自分のサイトにアクセスし、“お客様の声”をでっち上げる。
“警察に言ってもナシの礫、でも中出さんに依頼すると3日で解決し盗まれた物全てかえってきました。現金は中出さんが犯人をボコボコにして犯人の貯金から払わせました。彼は天才で喧嘩も強い。これからメルボルンに中出さんがいるかと思うと夜も安心して眠れます。中出さん本当に有難う。家族一同心から感謝しています”
といった内容の文を連打した。
さらにブログランキングにも参加し色んな所にハックインして
「ポチポチポチポチポチーッ」
自ら押しまくり、常に自分のサイトをトップに置いた。

その努力のかいあって…一週間後初めて依頼の電話が鳴った。
依頼主は日本人の女性だった。
声に色気があり、察するに年齢は30前後か―。
「よし初仕事だ!」
好男の目は少年のように輝き、赤い車を勢いよくスタートさせた。

彼女の家はエッセンドンにあった。
平屋だが敷地の広い豪邸だ。
フロントヤードに大きなユーカリの木が聳えている。
ドアのベルを押すと中から予想通り30歳くらいの気取った感じのする日本人女性が出てきた。
〈この顔は?〉
どこかで見た顔だ。だが記憶力の悪い好男には思い出せない。
思い出せないまま彼は応接室に通された。
―とそこにはこれも記憶にある青洟をたらした餓鬼が玩具をそこらじゅうに散らかして遊んでいた。
〈この餓鬼…〉
好男の頭の中を過去の記憶が懸命に回る。
「そうだ、思い出した!」
と思わず声にでた。
「何?どうかしたの?」
と日本人ママがいぶかしげに言う。
「あ失礼、なんでもないんです」
好男は努めて冷静にソファーに腰を下ろした。
その時玩具を手にした子供の目が妖しく光ったが、好男は気付かなかった。

依頼主の名前は桑本江津子といい、青洟を垂らした子はマー君と呼ばれている。
以前ショッピングセンターで“殺してやりたい”と思った憎憎しげな親子だ。
江津子が紅茶と茶菓子をテーブルの上に置き好男に向かい合う形で座った。
顔は近くで見ると悪くは無い。
細面で目は二重、ややはれぼったい唇に色気がある。
彼女の穿いた赤いロングスカートが目に眩しいほどに鮮やかだった。

「実はこの子の超合金の玩具が盗まれまして…」
紅茶の中のミルクをかき混ぜながら江津子は言った。
その表情からどうやら彼女はこちらの前歴に気付いてないらしい。
「ほうそれは可哀想ですな。して依頼の件は?」
好男は適当に相槌を打った。まさか玩具が依頼の件ではあるまい。
「実はその玩具、鉄人サンダースの超合金を探して欲しいのよ!」
「はあ?」
一瞬好男は拍子抜けしたが、江津子の表情は真剣だった。
「警察に電話しても相手にしてもらえず、途方にくれてしまって…それであなたにこうしてお願いしているのよ」
事件は3日前に起こったらしい。
マー君の命の次に大切にしている鉄人サンダースの玩具が盗まれた。
警察に電話してもいたずら電話の扱いを受けた上に、彼女自身英語が苦手ならしい。
その後、マー君はショックに食事も喉を通らず、夜は眠れず、終日鉄人紛失事件の真相を解明しようとノイローゼ気味であると言う。
「3日前の何時に起こったのですか?」
「午後3時から4時の間。この子を幼稚園に迎えに行って帰ってきたら無くなっていたの」
「家の中はよく探されましたか?」
「当然よ。ベッドをひっくり返して探したわ。でもないのよ」
「戸締りはちゃんとされましたか?」
「もちろん。しかも帰ってきた時はドアも窓もしっかりと鍵がかかってたわ」
「つまり密室であったと?」
好男は眉間に皺を寄せ名探偵調に言った。
「そう、間違いないわ」
「そうですか。では家の中を調べさせていただきますがよろしいですか?」
「ええ、もちろんよ。お願い。鉄人はもう生産されてないのよ。もし見付からなかったらマー君は…マー君は…」
江津子は両手で顔を覆って泣き始めた。
〈アホクサ〉
と好男は内心思っているがそんな色は露ほども見せず、
「私は過去何百、何千の難事件を解決してきた。私が来たからには心配無用。3日の内にマー君は鉄人と再会できるでしょう」
と首を縦に上下させ自信満々に言った。

好男は仔細顔で家の中を見て回る。
特にドアと窓の周辺は注意してチェックした。
しかしどこにも不審な点は見当たらなかった。
江津子に聞いた所では事件後家の中の掃除は一切せず、窓も開閉していないと言う。
窓の鍵も再度確認したがかなり頑丈なものだった。
これでは窓を割らない限り外からの侵入は不可能である。

「隣近所にはどういう人が住んでいますか?」
犯行の時間帯、このあたりはかなり渋滞する。また犯行が一時間の間に行われている事から考えて犯人は近所の者ではないかと思ったからである。
「左隣は60過ぎのおじいさんが住んでいて確かもう引退してるはず。右隣は―実は私も怪しいと思ってるんだけどマー君と同じ年頃の子が二人いて…この間うちに遊びに来た時、たいそう鉄人サンダースを気に入ってたのよ。しかもその時粘土で遊んでた…」
「なんですと!?ではその時粘土で鍵型を取ったと?」
「その可能性もあるかなって…」
鍵があれば密室も何も関係ない。
もう犯人は決まったようなものだ―と好男は確信した。
「ちょっと失礼するわね」
江津子はそういうとトイレに消えていった。

「おい、お前、この前のホームレスだな?」
背後からマー君とやらの声がした。幼稚園児とは思えないドスのきいた声だ。
「な、何の事だい坊や?」
好男は白々しく目を泳がせた。
「しらばっくれるなよ、おっさん。ネタは上がってんだ。何百何千の事件を解決だと?よく言うぜ。お前もし僕の鉄人見つけなかったらバラすからな。いいか犯人は隣の糞餓鬼だ。殺してでもいいから取り返して来い!」
―なんと言う可愛げのない子供であろう。
見た目も酷いが性格も酷い。
その時好男の胸にあのショッピングセンターでの言いようのない不快感が再び蘇ってきた。
〈この餓鬼、法律無かったら今すぐ殺してやる!〉

そう思っていると江津子がトイレから出てきた。
「あの奥さん、今から隣の家の家捜しに行きます。つきましては奥さんにも手伝って欲しいのですが…」

〈つづく〉
MK寄稿

メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人2

2011/07/17 20:54|私立探偵中出好男TB:0CM:0

彼はホームレスだが車は持っている。
以前、車のリア ウインドウに怪しい張り紙をし、予想通り女性ドライバーがエンジンをかけた後にその張り紙に気付き、降りてきてそれを剥がしている時に素早く座席に滑り込み盗んだものだ。
今彼はその車からスクリュードライバーを取り出し、さっきのスキンヘッドの車に向かっている。
「フン、アホが…」
案の定スキンヘッドの車のナンバープレートは普通のネジで止まっていた。
好男はそのナンバープレートを素早く外すと自分の車に着け、フリーウェイのガソリンスタンドに向かった。
そこにはトラッキー用に誰でも使えるシャワーの設備もある。
「俺の新たな門出だ。きれいさっぱりして迎えるぜ!」
人生の目標を見付けた彼の頭脳は冴えその行動は颯爽としていた。

ガソリンスタンドについた彼はまずシャワー室に入った。
そこにはトラッキーが忘れていったと思われる剃刀や石鹸があった。
「おお、運もついてきたぞ!」
剃刀は錆び、石鹸には陰毛が二、三本ついていたが好男は気にしなかった。
彼は鼻歌を歌いながら、その剃刀で伸びきった髭をそり、石鹸で体中を洗った。 
久しぶりに清清しい気分で、ガソリンを満タンにすると、もちろん料金を払わずに走り去る。
ナンバープレートは変えてある。つかまる事等まず無いし、もし捕まって務所行きになれば暫くの間飯の心配をしなくてすむ―好男にとって憂いは何も無かった。

その日の夜―また好男はそのショッピングセンターの駐車場に戻ってきた。
ここにはコミュニティービンと言うものがあって、人々は古くなった衣類をそのビンに寄付する。
中には新品と変わらないものもあり、高級スーツもあった。
好男の狙いはそれである。
夜10時―彼はそのビンの南京錠をボルトカッターでぶち切り中を漁った。
予想したとおりスーツやワイシャツ、ネクタイも数本あった。
暗くてよく見えないがなかなかいいもののようだ。
「よし服はこれで良し」
着々と準備が整っていくのに気をよくした好男はその夜はそこで車の中にスヤスヤと眠った。

次の日の朝、好男はJBHIFIという電気屋に入った。
ここには今彼が欲しているものがほぼ揃っている。
だが中にはセキュリティーが立ち、目を光らせている。
仕方なく彼はオフィスワークスに向かった。
ここはJBHIFIと違ってセキュリティーはいないが客もおらず、店員数の方が客より多く見通しも良すぎる。
〈どうもやりにくいな〉
仕方なく店を出た好男は、今度はK-Martに向かった。
ここには大した物は揃っていないが携帯電話は置いてある。
客数も程々で店員は馬鹿そうなのが多かった。
〈ここでいいや〉
そう決断すると好男はプリペイド携帯の箱をガバと開け中を取り出すとSIMカードを挿入してからポケットに捻じ込んだ。
周りは誰も気付かない。しかもこのアイスルに限ってカメラもついていない。
気を良くした好男は、一つでは心もとないのでもう一つ同じ事をした。
小さな携帯と充電器だけがポケットに入っているのでふくらみは小さい。
堂々とそのまま普通に店を出る―出口にセキュリティーがいたので軽く手を振ってやると向こうもニコリと笑みを返す。アホだ。

さて一つ決定的に足りないものがある―金だ。
今まで金等なくても生きていけると思っていたし実際生きてきたが、商売を始めるとなるとそうはいかない。
彼は街へ出た。
バークストリート―ここはメルボルンの街の中心地でトラムは走っているが歩行者天国だ。
そこに大きながま口の置物がある。
その前に、
「ストップ ザ ハラキリ」
と書いたたて看板を出した。
その上にクッションを敷き、裸になるとコミュニティービンで見付けた空手着の上を羽おり、ゴミ捨て場で拾った刀を前に置き、これも拾った白粉を顔面に塗りつける。
長く伸びた蓬髪を肩まで垂らし、好男はがま口の上に腹を突き出し、胡坐をかいて座る。
彼は乞食であるが小太りで腹が出ている。
ついでに触れておくと顔は横に広く鼻が低くえらが張っている。
一言で言うならブ男で女にモテル顔では無いが、どこか妖しい魅力があった。
その平面ヅラが白装束で悲痛な表情を作り、がま口の上に座っている。
一目見て異常な光景だ。
彼の周りにはあっという間に人だかりが出来た。
その人だかりを前に好男は瞑想し、静かに腹を二度三度と撫でた。
〈もう十分だろう〉
周りにぎっしりと輪になった人息を感じて彼は細い目をくわっと開けた。
そのまま涙がにじり出てくるまで耐え、瞬きをしない。
やがて細い目からツーッと一滴の涙が…。
そのままの姿勢でゆっくりと右腕を前に伸ばし膝の前の刀を取り上げる。
そして…
「きいいみいいがあああよおおわあちいいよおおにいいいやああちいいよおおにいい…」
と世界一暗い国歌を坊主がお経を読む様に声をのどの奥から絞り出して唄った。
するとどうだろう―人々は魔法にかかったようにがま口の前の小さな木箱に金色のコインを入れていくではないか。
しかも中には涙を流して札を入れるものもある。
薄目でそれを見ていた好男は、札が入るたびに「うむ―」と鷹揚に頷いた。
〈そうだもっといれろ!お前らは騙される為にこの世に生を受けたのだ!〉
君が代の効果は絶大だった。これがアメリカやロシアの国歌では売り上げに大きく響いただろう。

好男はそれを数日続けた。
その内に市役所から役人が駆けつけてきて彼にイチャモンをつけた。
何でも街の風紀上適切では無いという。
「なにっ!」
好男はギロリと細い目で役人達をにらむと眉をぴくぴく痙攣させ、
「許さんッ!」
と目の前の刀をギラリと抜いた。
役人は恐れをなして逃げ出したが同時に彼の切腹募金も終了した。
しかし、売り上げは上々である。
差しあたっては十分な資金が出来、彼は夢の現実に一歩近付いた。
≪つづく≫
MK寄稿
IMG_0070-200x200.jpg

メルボルン私立探偵 中出好男-消えた鉄人1

2011/07/05 19:27|私立探偵中出好男TB:0CM:0
MK寄稿

まえがき
私は下痢腹なだけでなく、腰も悪いし、足も悪い。以前「腰抜け物語」でも言ったが頭も悪いし、見た目も酷いもんだ。
顔は間抜けで、手足は短く、体は硬く、セックスは男マグロ。しかも早い。
もう人生に何の希望も無く、「♬しのう、しのう、しのう、イエーイ! ♬」とフィル コリンズ(Genesis Two Hearts)の歌を明るく口ずさむ事もあるが、そんな私にもちょっとした趣味がある。
それは自分で下手な小説を書いて自分で笑う―またエロ小説を書いて一人興奮するといった金のかからない経済的な趣味だ。
私は今まで何本かの小説を書き、それをこのエロ爺(メロジー)主催の「オーストラリアの青い空」とかいう面白くも無いタイトルのついたブログに載せる予定であったが、最近読み返してみてあまりに…あまりに…下手糞であったため、さすがの私も心がためらった。

しかし私は吹っ切れたのだ―。
世の中下手な奴がいて上手い奴がいる。
そもそも一流大学卒、一流企業重役を経て独立、年商数百億円、現在某大企業経営コンサルタントを兼ね、著書多数、新人賞、菊花賞、皐月賞、有馬記念総なめ―そんなわが世の春を謳歌する奴の自慢話等誰も読みたくないし胸糞悪いだけだ。
だが私のは違う、私は人生の敗北者だ。高い壁にぶつかったら、工夫してその壁を飛び越えるのではなく、潔くその壁に頭を打ち付けて死のう!と言ったタイプの人間だ。

そんな奴の書いた小説が上手いはずもないし、下手であっても恥じる必要も無い。
また私の小説を読んで「この程度なら自分の方がマシ」と思いっきり自信を持ってもらえたら本望である。




好男は今日もショッピングセンターを徘徊していた。
「おい、残せ!食うんじゃねえぞ」
目の前で小学生の男の子が寿司の盛り合わせを前にして座っている。
隣には母親と思える女性がスパゲッティーボロネーズを食っている。
スパゲッティーはどうでもよい。
好男は寿司が食いたかった。
男の子は食うか食うまいか迷っている―。

このショッピングセンターのフードコートは明るい。
まばゆいばかりの 照明が天井に灯り、それが白いテーブルとと乳白色のフロアーに反射して目に痛いほどだ。
暗闇の好きな好男には迷惑千万な環境だ。
男の子は寿司ネタを少し舐めただけで母親と一緒に席を立った。
「ようし、それでいいんだ」
好男はパタパタと羽を鳴らしたシイガルのように素早くその席に着くと、食べ残しの寿司をあっというまに口に詰め込んだ。
寿司を食い終わると、これも半分ほど残っていたスパゲッティーをついでに食った。
旨くは無い、だが食えるときに食っておくのはホームレスの常識だった。
腹はだいぶ張った。だがちと野菜が足りない。
好男は席から立つとスーパーマーケットに向かって硬いフロアーを歩き始めた。

ウールワース―オーストラリアを代表するスーパーだ。
好男は中へ入り野菜売り場のサラダ用にミックスされた生野菜がバラで売られている前に立っている。
隣に若い男の店員が一人いる。
「あのー2番アイスルで子供が一人泣いていました。見て来てやってくれませんか?」
好男は最大限に善人面を作り、丁寧に話した。
店員が慌てて2番アイスルに向かう。
その間に好男はサラダを鷲掴みにし口の中へ突っ込むのだ。
サラダの向かいには豆類がずらりと並んである。
アーモンドにピーナッツ、カシュウ…
「豆食わねえと出るもんも出ねえ」
好男はこれも素早く、ピーナッツを鷲掴みにすると口の中に放り込み、アーモンドとカシュウをポケット一杯に突っ込んだ。
〈そろそろ戻ってくる頃だ〉
店員が戻ってくる逆側から迂回し今度はコーラの置いてあるアイスルに向かう。
そこでぬるい缶コーラを一気飲みしてから店を出るのがいつものパターンだった。

いつもならこのままショッピングセンターを出て車の中で昼寝するのだが今日は何故かアイスクリームが食いたくなりまたさっきのフードコートに戻った。
丁度うまい具合に若い二人連れの女の子が席を立とうとしてその前に半分残ったアイスクリーム、チーズケーキ、コーヒーが好男をもてなすように待っている。
好男はまたパタパタと羽を回して素早くその席に座り美しい少女達の残飯を漁った。
美人の残飯は格別だ―好男は舌鼓をうちながら堪能した。
さっきの少女二人と濃厚な接吻をしているようで、つい下半身が反応した。

そのいきり立った肉棒がテーブルの裏側に当たって痛い。
好男はすべてに置いて平均以下の男であったが物だけは黒人ランナーのように走ると邪魔になるほどだった。
本能が目覚めた時好男はいつも思う。
〈ああ、父さん、母さん、こんな素晴らしい名前をつけてくれたのに、僕の人生はその名前にマッチしてない…でも、これからだよ。これから名前に負けないよう世界中の女を孕ましてやるんだ!〉

「ママ、あいつ人の食べ残し食べてるよ。ほらあそこの中国人」
斜め横からそんな日本語が聞こえてきた。
ギロリと好男はその方向に視線を走らせる。
―そこには見るからにお高く止まった日本人ママと青洟をたらした憎憎しげな子供がいた。
その二人が蔑むような視線を好男に投げかけている。
〈なんだこの異様な不快感は―〉
好男は一瞬でその二人が嫌いになり、殺したいと思った。
彼は人に対する憎悪が激しい。
一度嫌いになると八つ裂きにしても飽き足らないほどに憎みその人物の死をひたすら願う。
しかしその一方で〈奴らを見返してやる!〉という不敵な闘志も漲ってきた。
外人に馬鹿にされてもそれほど腹は立たないが日本人にそういう態度をとられると許せない怒りが込み上げてくる。
これは好男だけに限った事では無いかもしれないが、彼には特にその傾向が強かった。

「このままじゃいけないんだ」
ショッピングセンターを出た好男は、当ても無くショッピングセンターの駐車場をゴリラのように前のめりに歩き回った。
「おい、危ねえじゃねえか!」
スキンヘッドで腕に刺青のバリバリに入った男が車のホーンを鳴らし好男に向かって怒鳴った。
「うるせえハゲ!」
好男はその怖そうな男にキッと細い目でにらみ返し尚も駐車場をぐるぐると歩き続けた。
今、彼は何かを掴みかけていた。体に闘志が漲り、ワラビーズ(豪ラグビー代表チーム)相手に喧嘩しても勝てる気分だった。

〈俺にできる事って…なんだ?〉
腕を組んで歩きながらひたすら考える。
「俺には学歴も無い、資格も無い。経験と言えばキャバレーの呼び込みとレンガ積み、それとホームレスだけ…好きな事と言えば…尾行と盗撮―」
突然彼の歩みが止まった。
「そうだ!それがあった!」
好男は抜けるような青空に向かって大きく叫んだ。
≪つづく≫

検索フォーム



おすすめ記事



フフフ、この謎が解けるかな?


良い習いは地歩地歩

人気ブログランキングへ にほんブログ村 海外生活ブログ オーストラリア情報へ


リンク


このブログをリンクに追加する


RSSリンクの表示



QRコード


QR


 |  未分類 | メルボルンライフ | メルボルンのニュース | オーストラリアの風俗 | オーストラリアのニュース | オーストラリアの日本関連ニュース | オーストラリアの株、不動産ニュース | おーあおの不動産売買 | 自閉症関連ニュース | 自閉症.AUTISMの真相 | 調査捕鯨 | 海外から見た日本の領土問題 | 面白人間 | 腰抜け物語 | 下痢腹男の苦闘シリーズ | 私立探偵中出好男 | 中年ボロボロフリーターの日記 | 連載小説ワーホリの覚醒1 | 連載小説ワーホリの覚醒2 | 連載小説ワーホリの覚醒3 | 連載小説ワーホリの覚醒4 | あしたのペニ子 | 世界のニュース | 観光関連 | 宇宙関連 | 医療関連 | 教育関連 | ウチの猫 | 国際結婚 | 言語関係 | メラちゃんのジュエリーマーケット | 絵画 | 豪の鳥 | 豪の動物 | 豪の食いもん | サバーブ遊歩日記 | 家の修理 | これから豪に来る人の為に | テニス | ゴルフ | Japanese News (Australia related) | Reserch | おーあおの株取引 | 
Copyright(C) 2008All Rights Reserved. オーストラリアの青い空
Powered by FC2ブログ. template designed by 遥かなるわらしべ長者への軌跡.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。